鹿児島実 2017〜2018 公式戦戦績
○鹿児島市新人戦(8月下旬)=優勝
二回戦 ⚪️ 7ー1鹿児島工
三回戦 ⚪️ 14⑦0鹿児島南
準決勝 ⚪️ 8ー4鹿児島情報
決勝 ⚪️ 5ー2樟南
○秋季県大会(9~10月)=準優勝
二回戦 ⚪️ 12⑤0甲南
三回戦 ⚪️ 7ー1鹿屋工
四回戦 ⚪️ 7⑦0鹿児島工
準々決 ⚪️ 1⑪0薩南工
準決勝 ⚪️ 6ー2鹿屋中央
決勝 ⚫️ 6ー9神村学園
○秋季九州大会(10月下旬)=初戦敗退
二回戦 ⚫️ 1⑦10明豊(大分1位)
○春季大会(3~4月)=ベスト8
二回戦 ⚪️ 10⑥0吹上
三回戦 ⚪️ 10⑧0大口
四回戦 ⚪️ 9ー3鹿児島南
準々決 ⚫️ 3⑧10樟南
○NHK旗県選抜(5月)=優勝
一回戦 ⚪️4ー2鹿屋
二回戦 ⚪️2ー1樟南
準々決 ⚪️9⑦1出水工
準決勝 ⚪️2ー1尚志館
決勝 ⚪️9ー2川内
◆戦評
言わずと知れた県内屈指の強豪だが、今季は期待の高さに見合わない戦いぶりが相次いだ。
秋は九州大会出場も、明豊に打力の違いを見せつけられコールド負け。春はライバル樟南に屈辱の大敗。故障者が出る中挑んだNHK旗でようやく今季初タイトルを手にした。戦力的には優勝候補筆頭間違いなしだ。
投手陣は先日のNHK旗優勝の立役者、右の吉村に、変化球で空振りを奪うことに長けた左の立本とタイプの違う二枚看板だ。打線も例年以上に強力で、西、板越といった主軸を中心に上位から下位までスタンドインが期待できる。選手層も厚く、本番までにレギュラー、ベンチ入りをかけた競争も熾烈を極めそうだ。
ここ数年の夏の戦いを見て、気になるのは選手個々のコンディション。常に心身ともに強い負荷を与える事で本番に力を出せるよう鍛えて行く同校の方針だが、近年は夏を前に故障者が出て万全の状態で臨めない事もしばしば。昨年は九州準優勝の立役者の渡邊を肘の故障で最後まで欠いたまま敗れ去った。
果たして今年はどうか?杞憂で終わる事を祈りたい。
○選手権(夏)過去5年間戦績
17年 ➖⚪️⚪️⚪️⚫️=ベスト8
16年 ➖⚪️⚪️⚪️⚪️⚪️△⚫️=準優勝
15年 ➖⚪️⚪️⚪️⚪️⚪️⚪️=優勝(甲子園 ⚪️⚫️=二回戦)
14年 ➖⚪️⚪️⚪️⚫️=ベスト8
13年 ➖⚪️⚪️⚪️⚪️⚪️⚫️=準優勝
戦績はさすがだが、やはり鹿児島を代表する名門が過去5年で一度の優勝は物足りない。
近年は樟南や神村以外のライバルも力をつけてきており、そろそろ大きな結果を出して健在ぶりをアピールしたいところだろう。
【ブロック展望⑴】
出場校中最も多くの支持を集め第1シードに指名された今年の鹿実。それだけ他校からの評価が高い証拠であり、言い方を変えれば最も警戒されている事を意味する。今年もプレッシャーとの戦いが待っている。
このブロックで抜けた力があるのは間違いないが、決して安心出来る組み合わせではない。
初戦を突破した場合待ち構えるのは、出水中央と隼人工の勝者。出水中央には前回優勝時の15年も薄氷を履む試合を強いられており、隼人工は昨秋れいめい相手にあわやという戦いぶりを見せている。
そしてノーシードながら、上位進出常連の強豪鹿児島城西もこのブロック。今期は結果が伴ってないが、2年生世代を中心に今年も有力選手が揃っている。佐々木誠新監督のもと、勢いに乗れば最も恐ろしいチームだ。
【その他・アラカルト】
◆ジンクスに挑む夏
各校の投票により、2年振りに第1シードに選ばれた。つまり今年の鹿児島で最も警戒されるチームということになる。このプレッシャーを振り切ることができるかが焦点となる。
鹿実が第1シードから優勝したのは春夏連続出場を果たした選抜優勝後の96年以来。宮下監督就任後は11年、16年の2度第1シードに選ばれているが、いずれも優勝を逃している。いずれも選抜出場チームだが、今年は選抜を逃しておりやや状況が違うのも確か。
県を牽引するチームをめざして行く以上、必ず打ち破らなければならない壁だ。
今年こそジンクスに打ち勝ち、屈辱の過去と決別したい。
【今夏選手権戦績】
二回戦 ⚪️9⑧2甲南
三回戦 ⚪️4ー0出水中央
四回戦 ⚪️4ー1鹿児島城西
準々決 ⚪️1ー0指宿商
準決勝 ⚪️13⑥2鹿屋農
決勝 ⚪️9ー1鹿屋中央
◆戦評
90回大会、高校野球100周年の97回大会に引き続き、100回記念大会を飾ったのは県内屈指の伝統校鹿実だった。大会序盤は苦しい試合展開も少なくなかったが、強豪校やシード校の早期敗退が相次ぐ今大会においてはむしろその厳しい試合を「勝ち切る」勝負強さが際立った。
先発にリリーフにと大車輪の活躍をした右のエース吉村の投球はもちろん、準決勝での先発の役割をしっかり果たした左腕・立本の働きも大きかった。
攻守とも中央的役割を担ったショート岩下、リードオフマンとして打線を牽引した山下馨、そして不動の4番を務めた西の打棒。個々のポテンシャルの高さは言うまでもない。
しかしそれ以上に他チームとの差をつけたのは、古臭い表現だが「勝負に対する執念」ではないか。
一昨年の一年生大会を優勝した事もあり、大きな期待を受けてスタートした今期だったが、その道のりは決して順風満帆だった訳ではない。
秋の大会では決勝まで勝ち上がるも甲子園帰りのメンバーが残る神村学園に敗れ準優勝。選抜に直結する九州大会では初戦で屈辱のコールド負け。年が明けた春は長年のライバル樟南にこれまたコールド負けを喫した。
そういった負け試合の経験を、最後の夏に生かしてきたのは流石伝統校といったところ。
決勝戦でもピンチでの粘りの守備、満塁弾を放った4番に送りバントを命じる姿勢、二度の敬遠策をしっかり成功させた事。プレー一つ一つに1点、1アウトに対する執念がこもっていた。まさに鹿実野球の真髄といった試合運びだった。
3年ぶりの甲子園となるが、今年は久々の上位進出を期待したい。
鹿児島県勢は夏のベスト8以上はあの「鹿工旋風」のベスト4以降無し。2勝以上を挙げたのも、10年前の鹿実が最後。
12年以来6年連続で初戦突破を果たしているが、全てその一勝にとどまっている。
「低迷」という訳ではないが、停滞感があるのは事実だ。
この壁を乗り越える事こそ、甲子園に臨む鹿実に課せられた使命である。
倒した県内のライバルたちの思いを背負い、あの舞台で思う存分暴れてきてほしい。